大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 平成9年(行ツ)210号 判決 1998年1月30日

横浜市港北区篠原台町二四番四号

上告人

藤村瑛二

東京都千代田区霞が関三丁目四番三号

被上告人

特許庁長官 荒井寿光

右当事者間の東京高等裁判所平成七年(行ソ)第五号審決取消請求再審事件について、同裁判所が平成九年五月八日に言い渡した判決に対し、上告人から上告があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

"

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

記録に照らすと、本件再審の訴えを不適法として却下した原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河合伸一 裁判官 大西勝也 裁判官 根岸重治 裁判官 福田博)

(平成九年(行ツ)第二一〇号 上告人 藤村瑛二)

上告人の上告理由

一、再審判決は 民訴四二〇條一項  書前段の規定に該当し不適法ふもので却下する、としてゐる.

二、然るにこれは誤判であって、行政裁定の自己拘束ふる概念は前訴上告人たる当方の知らぬ為に、前記上告にも 前訴裁判にも主張してなかった。即ち 書後段の規定に抵触せず 而も上告審は法律審であるから この自己拘束の原則を確認し 次に審査基準に則って 審決の正否を審理しふければふらふいが不作為である.

三、再審判決は「上告において『特願発明が分割の審査基準に該当する旨主張がふされ』その点を含めて判断を加へてゐる事が明らかである」、旨云ふが、上告人原告が主張したとて必しも判断がふされたとはいへず それは判決理由に実質物に照してみねばふらふい.前訴上告判決の理由は「原出願の当初の明細書又は図面に 本願発明の要旨とする技術的事項が記載されてゐふい」としてゐるが、分割要件の審査基準は 第一に 適法に補正された(即ち新規事項のふい事が確定した)明細書図面を基本に原願発明と分割発明とを比較すべきである(甲十二号証一七八頁、「5、出願分割の判断→“50.1分割対象とふる発明”→の下七行~下一行」)とされる.補正前の記入事項に、「発明の構成」として「目的・用途」等が混入誤記され、此を削除して、技術的構成のみとした補正後の明細書が参照されず「目的・用途」が「必須の構成要素」として比較の対象にふる等は  できふい事だからである.甲十二号証の引用部分には.補正付に削除された~前に記載されてふい事にふってゐる発明が分割の対象にふらぬ特に、さう定めてゐる.その附隨効果として整理され後の構成が比較にふるべきである。(何故いく云わかと定ふと.前訴高裁判法中.分割発明の構成として舉げてゐる項目中 かるものが=最終的請求範囲の中に い筈が、判法文中の恣意的記入或は補正前の誤記の引用であるのか=用途にすぎぬ物がある故である)。そこで、前訴原判決はその誤りを冒して居り、「当初」ふる語は、上告にて甲十二号記を照應してゐふい事か判る。

第二に上告判決に「技術的事項」ふる語を用るし、「構成」即ち技術的構成ふる概念が存在しない点である.分割要件は甲十二号記一七九頁(上告事件記録丁番158)5.2・2・1にする.両前が実質的同一である事であるが実質的同一とは甲十二号記審査基準七三頁(丁番一六七)以下に例示解説され.夫によると ・七五頁(丁番一六六)- より七行~十九行-C-(B)「異なる慣用手段の附加又は削除」は「同一」発明である。即ち本件新型交換器或は夫等が連結的に組合つた交換系にとって端末手段は交換器  に別箇の異なる慣用的附加手段にすぎふいから此が原願対象部分と分割発明との間に.端末手段があるかふいかは.実質的同一性からは何等問題のふい所。高裁前訴判決文十二丁裹  (分割)発明の構成(三行)として.「(b)交換接線用情報と伝送すべき本件情報とをし送出する手段と.」として交換系とは無関係な端末を.交換桟の発明の構成要素としにあげて居り此を直ちに上告番では取あげた.「技術的事項がふい」とは「この送受端の端末装置がふい」との事である.当然、分割審査基準の「実質的同一」の文節を参照してゐふいのである.判断してゐる筈だ、といふ再審判決は理由がふい。

四、斯 にみると.前訴上告書に いて前訴原審判決はその判断遺脱の瑕疵がふおされてゐふいのであり、その所謂 四二〇條一項 書前段と援用する事はできず不適法 下は理由欠落で民訴三九五條一項六号により破案を免れふい.

更に判決言渡しを九年五月八日とあるが.判決日告知もふく.弁論を開いず唯郵便による送達を不意にふしたもので.同條一項五号に違背してゐる.

事件が差戻しにふるふらば、出願記録を取よ る等して.高裁前訴判決の十二丁裏~十三丁裹の、本願分割発明の「(二)構成」中(b)は不要.(c)及(f)は に線路的手段であって。然 に しておけばよく.(d)に線路的手段とでてゐる以上不要とも言たうる.斯かる“構成”が果して出願記録から歸納的に作成し得た物か記明する事ができる.高裁“前訴”判決文三丁表下ニ行よりたの通りである。

「本願発明は線路的手段に.交換接線用情報を  受信して記録するレヂスタ的手段が接続され.“ろの線路的手段によつて本件情報をも伝送する事を”構成にかくことができふい事項」である。所が普通后来の電話施設を使用する普通人が線路によつて被話者番号を送信した後.送受話 に切らかへて本件情報を送受することは公知の事であって.「線路的手段」とは一対の銅線を予想してそれには   情報の信号が流れるものである事は常議である。そこで.用途を絞って.被呼者番号のみにするか、本体情報もつづいて送受するかは用途に関することで構成とはいはふい、目的、効果と構成とは対立する概念で目的効果は用途と同意義である。右の“s”は分割発明の必須の「構成」ではふい.(参考資料として前上告には発明の同一性に関する審査基準をつけてあり甲十二号証は“手引き”とあるからこれをサポートしてある)

右の“用途”を“必須の構成”、と論弁し、審決不服訴訟の判決文に前述の に十二丁裏分割発明の構成の項に(h)、(e)、(f)を入れこの(h)をどこまでも“技術的事項”“構成要素”と強弁し通して原告敗訴にした、此が前訴裁判のカラクリである。

斯 は“構成”なるものが出願記録、或は審決不服訴訟中の原告出願人の書面等 歸納される筈がふい、その出願記録、審決不服訴法記録よりコピをより終始「構成」にはふい、「用途である」と主張しつづけた事を証明を女人としたが、見事にその書類が一切盗まれてゐる、勿論、犯人は  傷害番NTTである.即ち「線路に本体情報を消す」といふ“線路の用途”が「必須の構成」であるとする記述がふいことが夫等記録によって証明されることを自受してゐることを侵害者NTTが自白してゐることになる.

用途を発明の構成に組みこむ出願人の書類作成はあった筈がふくあっても補正によって訂正される筈である.従って適法に補正された明細書-補正 下不服訴訟により勝訴した明細書に照応してみれば、侵害者のNTT.特許庁、高民六部の 弁が明にふる.

五、慣習法違背は法令違背で三九四條、三九五條一項六号に抵触する.出願の審査基準は、行政裁 の自己約束の原則によって慣習法であり前訴高裁判決がそれを 失って居た事は明瞭に判断遺脱.理由  にふる.

又因みに附加すると、甲十二号証「基準」の七九頁(丁番164)の項Dに「“構成”の一部は相違するがその相違が異なる用途限定の有 」又は異なる「用途の相違」に相当するにの発明」は実質的に同一である、と示してある.(その“構成”とは、“構成に係なる説明”との意味であろう.厳密には“構成”は“用途”を含んではゐふいからである).此の條項も 、本体分割発明と原願発明の対応部分との同一性と証するものである.

追記

六、前訴高裁判決文の附図(二)、(三)より抜きとりB局装置を例として次丁に説明のため再掲する.このRSは、原願明細書に「RSは模擬的に廻転型スイッチで表現する」と説明されてゐる、夫は第一図の上部のBX・BC・BPと重復するものだから、冗長を避けたのである.

ところでRSは斯 ふスイッチを総称的に示したものであるかを本体の発明の部分即ち第一図の鎖線の上部=通話用ルートのBX・BC・BPをRSにそっくり移入れてよい、原願発明の特徴は、BC・BPの中で、出線の使用予定線の番号を定めておき、これをレヂスタに記録して、DRに行先局の情報がきた に直ちに右行先向レヂスタに み出しパルスを送り予定出線を補捉しようといふのである.在末の様に番号がきてから空線を探索するのと違ふのである。当然高速動作の接続桟構は信号線用にも使ふ.

第一図で、甲は接続用信号のための線路的手段であり.乙は本体情報通信用。線路的手段である. その場合一対の銅線を想定するのが当然である.此には被呼者番号の信号電流も通話用の信号電流も伝送させ得るそとは常識である.

分割発明には、甲乙が一統にふりRSがBX・BC・BPと重ふつたもので、原願発明で両者が分れたのは、后来の通話線に通話と持たせる方が長い通話時間等について安くふること、共通通信線の方は、高速度で被呼者番号を送る為に回線が高級、高価にふるから長時間の通話のために保留されるのが経済的でふい事による.

第一図

<省略>

第二図

<省略>

第二図は発明の全体線を示す.原願図面ではU及Zの通話者が図示されてゐる.交換糸(点線圏内)の入力及出力の端子は当然存在し夫 α、βと呼ぶと、αからUまで、βからZまでは純粹の線路である、α~βの内側は情報の信号電流の通る内部配線で線路的手段である.α・βの内側が交換糸の構成でその外側は交換糸とは別である、論弁の際、UやZをつけて論ぜられるのは慣用的手段を附した事にすぎふい.

実際で圍つた部は分割出願の発明でその入力端子出力端子を とγ、δとすればγ~δ間が交換糸でδ・γより外部は系外の附加物である.例へばCDは端末である.

端末機器では何か、意義は例へば普通の電話器でならばUの傍の図の如くまでダイヤルで被呼者番号を発出し、終れば、送受話器M・Rに切りかはる、両者とも端末器である.

ダイヤルで被呼者番号が送出されて交換系が交換機能が働けばそれで技術的構成は実全である.同様にCDから被呼者番号か送出され、本体分割部分が機能すれば技術的構成は夫で足りる、図示する所は、原願い該当部分と分割発明と実質的同一である事を証明する.

七、前訴判決及審決にZに相当する端末とか本体情報を送出する装置がふい、と的外れの非難をするが、先述来の通り、γ~δの間が交換系でその構成が同一であればふい、交換系とはキヤリヤの径路を切替へるもので、キヤリヤにのる本体情報の意義とは号関係である、被呼者番号し情報であり.ダイヤルで信号に変る、信号はキヤリヤにのって伝送される、フアックスに端末を切りかへる、画像情報がフアックス端末で画像用信号に変る。その信号がキヤリヤにのって伝送されるのである。

以上

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例